
東京世田谷の地に、幼稚園から大学までを一つのキャンパスの中に擁する成城学園。大学は文系の総合大学として、昨年開学60周年を迎えました。今回はその成城大学の図書館に勤める金田陽治さんにお話をうかがいます。
金田:それが・・・まったくの偶然です。

大学は英文科でしたが、大学を出た後1年半ほどペルーへの語学留学(スペイン語)をしていました。その後英会話の講師を経て、本学で大学職員として働くこととなりました。そして、配属された部署が図書館だったわけです。
それまでは、図書館や図書館司書というものに特別な興味をもっていたわけではありませんでしたから、最初はもちろん全く何もわからず、いろいろと教えていただきながらやってきました。図書館司書の資格も、勤務し始めてから通信課程で取得しました。
金田:はい、だからこのインタビューのお話をもらった時は、僕でいいんだろうか?と心配しました。
金田:それは、いろいろありました。
今でもよく覚えているのは、勤務し始めてから図書館学を学ぶ中で、図書館の仕事は「利用者主体」だというのを知ったことがとても印象的でした。驚いたというのとはちょっと違いますが。
それまで、自分が学生時代に利用していた公共図書館や大学図書館では、そういう考え方をうかがい知ることは、正直、あまりなかったのですが(笑)。それを知ったときは、とてもいい考え方だなあ、と思いましたし、自分もそういう考え方で仕事をしていきたいと思いました。
金田:あとは、組織を超えて図書館どうしのつながりがとても強いことに驚きました。それに、業務の多くがこの職場独自のものではなく、標準化されているとも感じました。業務を知っていくうちに、ILL[※1]など、業務上で互いに関わりあいながら仕事をすることが多いので、そうしたつながりが強くなるんだなあ、ということが分かったのですが、こういうのは、企業などではほとんどないことですから、珍しいと感じましたね。
金田:成城大学の図書館には、総務課、整理課、運用課という3つの課があります。整理課は目録業務など、運用課はカウンター業務などを行いますが、自分は整理課で洋書の目録を担当しています。この職場では数年単位での計画的な部署移動はほとんどなく、もう何年も同じ担当をしていますが、目録は自分にとってとても興味深い業務だと感じています。
目録には確固たるルールがあり、些細なことに思えるものでも、そのルールに基づいて決まっているので、ちゃんと意味があります。具体例をあげると、区切り記号や、大文字使用法、単語の省略形などの基本的な事項から、Noteの書き方、シリーズ名の取り方など・・・。それを、先輩に教えていただいたり、自分で調べたりして少しずつ学んでいくことは、とても興味深い体験でした。今でも、ちょっとでも疑問に思ったことはその都度マニュアルにあたるのですが、「あ、こういうことか」という発見があることも多く、それが楽しみでもあります。
そのこととは別に、図書館が紙の資料以外のものも扱うようになってきて、それに応じて目録の仕事も少しずつ変化しています。資料も目録も、生きている、動いているということを実感しますし、興味が尽きないですね。
金田:はい。とても面白い仕事だと思っています。
金田:今の職場では「情報を司る仕事をするのだから、どんどん外に出て色々なものを吸収してこい」と応援してくれる雰囲気があります。常に自分で調べ、研鑚していくことが当たり前という感じです。大変ですが、それも含めてやりがいがあります。
金田:でも、まだ自分が「専門職だ」と言い切れるところまでは行っていないと思っています。もちろん、そうなりたくて努力しているわけですが。専門職というのであれば、その業界で起こっていることに常にアンテナを立ててキャッチアップしていくことが必要で、資格があるから専門職だ、じゃないと思っています。
金田:そうですか?別に自分は「この業界をリードしていこう」なんて思っているわけじゃないんです。そういう、リードしていくような優秀な人たちの下で、しっかりこの業界の動きに付いて行こう、というような感じでやっていきたいと思っています。
金田:日常的にはそれほどないのですが、今ちょうど学食改善プロジェクトのメンバーになっていて、そこには学内のいろいろな部署の職員がいます。もともと学食は学生課の管轄ですが、プロジェクトでは、集まったメンバーが、それぞれの立場からああしようこうしようと意見を出し合っています。
金田:今のところそういうのは無いですが、やってみたら面白いかもしれないですね(笑)。
金田:図書館は、大学の正門を入ってすぐの場所にありますが、現在の建物が完成したのは平成元年です。地上4階、地下3階で、70万冊近い図書と、約1万タイトルの雑誌、8万点以上のAV資料などを所蔵しています。
金田:蔵書の特徴としては、AV資料の充実という点が挙げられます。文芸学部に芸術学科があることとも関連があるのですが、前述のとおり8万点を越えるAV資料(ビデオ、DVD、CD、マイクロフィルム等)を所蔵しています。
金田:そうですね。地下2階が主にAV資料のフロアになっていて、専用のカウンターや、たくさんの視聴ブースがあります。また、館内に本格的な映写設備をもったAVホールがあるのも珍しいかもしれません。
金田:このほか、特別コレクションとしてドイツの哲学者で教育学者パウル・ナトルプの旧蔵書である「ナトルプ文庫」があります。また、現在は同じキャンパス内の民俗学研究所に保管されていますが、民俗学者の柳田國男氏の遺言により寄贈された「柳田文庫」なども知られています。
金田:偶然飛び込んだ世界ですが、入って見るととても奥の深い世界で、自分に合っている仕事だと思っています。この部署(整理課)の中でも、まだまだやることがあります。図書館にはまだ目録の取れていない資料もあり、それにも取り組みたい。でもいずれは、図書館利用者に直接かかわる部署での仕事もしてみたいと思っています。
金田:はい、好きですね。コミュニケーション力もそうですが、前職も今の仕事も、教育への関わりという点で自分の中でつながっています。
| 8:30 | 出勤、メールの確認・返信 |
| 8:45 | 同僚が作成した目録データのチェック |
| 9:00 | |
| 10:00 | |
| 11:30 | 洋書整理業務 |
| 12:30 | 昼休み |
| 13:30 | 引き続き洋書整理業務 |
| 14:00 | |
| 15:30 | 学内設置の委員会に出席 |
| 16:50 | 帰宅 |

(取材:2011年8月)